知って欲しいアナログ印刷の魅力~オフセット印刷の仕組みと強み~

印刷部
2018年7月10日

普段何気なく使っている印刷物。どんな機械でどういう仕組で印刷されているのか考えたことはありますか?一つに印刷と言っても様々な方式があり得意不得意があります。

本記事では当社で採用しているアナログ印刷の一つオフセット印刷について紹介したいと思います。

アナログ印刷とデジタル印刷の違い

印刷の方式は様々ですが、基本的にインキと版(中には版を必要としない機械も存在)を用いて印刷するものをアナログ印刷。

版は使用せずデータから直接用紙にトナーやインクジェットで印刷するものをデジタル印刷と呼びます。

アナログ印刷とは

アナログ印刷とは主に4大印刷と呼ばれる以下の方式があります。

凸版印刷(活版印刷)

判子のように印字箇所が突起しており、突起箇所へインキを乗せ圧をかけて印刷する最も基本的な原理で印刷される印刷方式です。

主に書籍や新聞の印刷に用いられます。

グラビア印刷(凹版印刷)

凸版とは逆に印字される箇所が窪んでおりそこにインキを貯め印刷物に圧着させて印刷する方式です。

色の表現性に優れ、主に写真集や食品のフィルム印刷に用いられます。

シルク印刷(孔版印刷)

版の印字箇所に穴が空いており、版を押し当てインキを通すことで印刷される印刷方式です。

主に衣類などの紙以外の物に用いられます。

オフセット印刷(平版印刷)

インキ(油)と水が反発し合う性質を利用して印刷する方式で唯一版から直接印刷物に印刷しない方式です。

主に商業印刷物に用いられます。

軽オフセット

単色印刷 小ロットからの印刷 特色による印刷など小型の印刷機による印刷で、デジタル印刷までとはいきませんがアナログ印刷の中では小回りが利く印刷方式となっています。

当社で採用している印刷方式です。

オフセット印刷について

オフセット印刷とは版から直接印刷するのではなくブランケット(ゴム製の版のようなもの)を介して印刷する印刷方式でインキの付いた版からブランケットに一度移して、版からインキを剥がす(OFF)そしてインキが移されたブランケットから紙へ転写(SET)オフしてセットする事からオフセット印刷と呼ばれています。

オフセット印刷の仕組み

上記で少し触れましたがオフセット印刷とはインキと水が反発し合う性質を利用した印刷です。

オフセット印刷に使用する版は印字される箇所が親油性、その他は親水性になっており、版を水ローラーに通して水に浸すことでインキは親油性の箇所にしか乗らなくなります。

インキの乗った版からブランケットにインキを移して用紙に印刷するという仕組みになっています。

使用する材料

PS版

PreSensitized Plate

平版印刷に広く用いられているアルミ版で耐久性に優れ、大ロットの印刷に適しています。

また再利用可能で定期的に増刷する場合も用いられます。

印刷後の保管の為の版処理が必須であり、保管スペースも必要となってきます。

CTP

Computer To Plate

製版フィルムを使用せず直接データから出力された版。

当社では紙版を使用している為PS版と比べるとコスパに優れていますが、耐久性は高くありませんので小ロット向きの版となります。

また再利用はせず使い捨てとなるので版処理や保管スペースも不要です。

インキ

オフセット印刷用の粘度の高い枚葉インキを使用します。

インキには硬度があり、夏場は硬いもの、冬場は柔らかいもの、季節によって使い分けます。

また機械の稼働状況によっても使い分ける場合があります。(大ロットの印刷など稼働時間が長くなると機械が熱を持つため硬いインキを使用した方が印刷物が汚れにくくなるなど。)

印刷機械

当社では、単色、小ロットに適したHAMADA製の小型機械を使用しております。

E-47

Superb47

RS34LII

 

軽オフセット印刷のメリット・デメリット

メリット

一番のメリットは特色印刷にあるかと思います。

基本的にデジタル印刷はCMYK、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色で構成されているので、特色など指定された色に似せることは出来ても実際の色を作ることは出来ません。その点オフセットは複数のインキを掛け合わせて色を作成するので色調の幅が広く特色のイメージに限りなく近い色を作成することが可能です。

他に 金、銀、蛍光色といった特殊な色の印刷も対応できます。

オフセットの4色機なども特色には対応可能ですが色替えなどの小回りが利きづらくコスト面から考えても軽オフセットの利点と言えると思います。

・PS版など再利用が可能であり大量に印刷する際コストを抑えることが出来る。

・細かい網点の再現性が良く、よりイメージに近い印刷が仕上がる。

デメリット

・インキの乾燥時間が必要であり仕上がりに時間がかかる。

・単色印刷なので次々と色を替えて印刷という訳にはいかず、1日に印刷出来る色の数が限られてくる。

まとめ

近年デジタル印刷が増え、以前は品質だけで言えばアナログ印刷に及ばない部分がありましたが、最近では印刷機械の性能の向上とともにアナログ印刷とデジタル印刷の差が縮まりつつあるのも事実です。

しかし当社で取り組んでいるオフセット印刷と活版印刷による名刺作成などアナログならではのメリットもあります。

勿論デジタル印刷の方が適している場合もありますが、まだまだアナログにしか表現できない印刷技術もありますのでアナログ印刷というカテゴリが再び注目されればと思います。

 

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