部署レポートIsen Note

DTPエキスパート・マイスター取得への道

こちらの部署レポートで以前ご紹介させて頂いた印刷業界の民間資格の一つ、「DTPエキスパート認証試験」

2023年8月にその試験を受験してきました。10月末に結果発表があり、何とか合格することができました。今回は私が実践した勉強方法をいくつかご紹介して、これから受験を検討される方への参考になれば幸いです。

試験の概要は以前にもご紹介させて頂いてますので内容はある程度割愛させて頂きますが、2020年3月に改定されたのでその辺りを軽くご紹介します。

「DTPエキスパート・マイスター」「DTPエキスパート」の2段階制に改定

DTPエキスパート認証試験は、2020年3月より「DTPエキスパート」「DTPエキスパート・マイスター」の2段階制に改定されました。

今回、新たに制定されたものが、学科試験のみを受験して合格すれば認証される「DTPエキスパート」、そして、従来のように学科試験・実技試験を同時に受験し、両方に合格すると認証されるのが「DTPエキスパート・マイスター」です。ただし、仮に実技試験を落としても学科試験が合格ラインをクリアすれば、「DTPエキスパート」として認証されることになります。

また、「DTPエキスパート」に合格した後、次回以降に実技試験だけを受験することができる『アップグレード試験』が新たに加わりました。「DTPエキスパート」認証後、このアップグレード試験に合格することで「DTPエキスパート・マイスター」として認証されます。したがって、まずは学科問題に集中して「DTPエキスパート」を受験し合格した後、次回以降に実技課題の腕を磨き、アップグレード試験に挑戦するといった2段階受験が可能になります。ただし、受験料は同時に受験するよりは若干割高になります。

「DTPエキスパート・マイスター」実技試験について

実技試験の内容についてはネットで調べても余り情報が得られませんでした。というのも実はこの実技試験、内容がこの改定を機に大幅に変更されており、デザイン制作の能力を審査しています。

「制作コンセプト書」と「デザイン性重視」

以前は、「印刷データ」と制作作業を分担するための「制作指示書」を提出するものでしたが、採点において、印刷データとしての完成度が最重要であり、デザイン内容を重視しないとの不文律があったとの事。そこで、新たな実技試験は、印刷データ制作のエキスパートであることはもちろん、デザイン制作のエキスパートでもあることを想定し、クライアントや編集者の意図に応じて、伝えたい内容やターゲットを整理すること、デザイン・レイアウトを通じて表現できることが求められる為、実技試験においては、そのプロセスを「制作コンセプト書」として記述し、「印刷データ」と併せて提出する形式となりました。

見て貰う方にもっとも伝えたいことは何か、全体のバランスや優先度によって重点を置くところはどこか、それらを表現するために、どのようなデザイン・レイアウトを行うのか。「制作コンセプト書」では、「全体コンセプト」「レイアウト」「組版」「配色」などの項目ごとに、デザインの考え方、留意した点などを記述する書式になっています。

デザインデータは、印刷データとしての完成度は当然ながら、デザインの完成度も審査され、メインの画像や見出しの配置、書体の選択が適切かどうか、本文の設定や視線の流れに問題はないか、情報が整理されて理解されやすくなっているか、など総合的な観点で採点されます。

学科試験の勉強方法 〜私はこれで試験に受かりました〜

まずは読書から…そして挫折。

はじめに取り組んだのが参考書を読む事からはじめました。まずは基本に立ち返り、本を読むことが全ての始まりだと思い、購入したのがこの「JAGAT DTPエキスパート認証試験カリキュラム 第12版」です。ちなみに書籍として販売されている最新版は「第13版」ですが、「第14版」以降はダウンロード形式となっており、ダウンロード形式になると内容はここまで充実しておりません。

見ての通りこの分厚さ。文字も小さく、それが約300ページ近くもあります。毎朝10ページずつ1ヶ月かけて何とか読破しましたが、正直ビックリするくらい頭に入ってきませんでした。ちなみに書籍の方には実技試験(課題制作の手引き)の項目もありますが、改訂前の内容なのであまり参考になりません。

「そういう時はジタバタするしかないよ。描(書)いて、描(書)いて、描き(書き)まくる!!」魔女の宅急便:ウルスラより

続いて取り組んだのがJAGATのサイトで販売している「学科公式模擬問題」を購入しました。

ここから私の風向きが変わりはじめました。

まず問題をじっくり読んだ後、答えの部分は赤ペンで説明文は黒鉛筆、重要な文章には赤ラインや青ペンなどを駆使して、学生時代に黒板に先生が書いた物をひたすらノートに書き写した頃のようにひたすら書き出しました。「書いて、書いて、書きまくる!!」

そして、このころ一番心掛けたのが、「ただ答えを暗記するのではなく、しっかり内容を把握した上で理解すること」です。答えをただ丸暗記するだけでは応用問題が出た時にボロが出てしまいます。実際にJAGATの第59期試験講評によれば既存項目を新たに問い直す問題でも正答率が低い傾向がある」との事。こういった時に内容を把握した上で理解していることが力を発揮できると思います。

続「描(書)いて、描(書)いて、描き(書き)まくる!!」

「学科公式模擬問題」を一通り解いた後、続いて購入したのが「DTPエキスパート受験サポートガイド第9版」です。

こちらも「公式模擬問題」同様に問題が数多く掲載されております。しかも「受験サポートガイド」というだけあって解説付きですので、理解力が高まります。ただし、先程購入した「学科公式模擬問題」と重複している問題も多々あるので、その問題は飛ばして初めて取り組む問題にフォーカスを当てるのがおすすめです。試験直前に「DTPエキスパート受験サポートガイド第10版」が発売され、急遽購入しましたがこちらは「第9版」と問題がかなり重複していたので「第9版」でも大丈夫です。とりあえずより多くの問題を解くこと(理解すること)が重要です。ちなみに最初にご紹介した「JAGAT DTPエキスパート認証試験カリキュラム 第12版」には模擬試験も掲載されており、多くの問題を解くことが可能ですがあまりに情報が古いため、あまりおすすめ出来ません。

DTPエキスパート受験対策講座に参加

試験一ヶ月程前にJAGATのサイトを覗きに行くと「DTPエキスパート受験対策講座」開催とのお知らせがありました。この頃になってくると「何が何でも絶対受かる!!」とモチベーションも高まっているので、急遽申し込みました。講座内容は試験概要の説明と模擬試験の実施です。模擬試験に関しては終了後、自己採点します。この時の私の点数は「書いて、書いて、書きまくる」を実践していた割には思ってた以上に出来が悪く、記憶力の衰えを痛感しました。ただ、講座を受けるというのは講師がそこにいらっしゃるという事なので、独学では出来ない問題に対する質問が出来たことが非常に大きな収穫でした。

ラスト一ヶ月「解いて、解いて、解きまくる!!」

試験まであと一ヶ月を切り、ここからはひたすら問題を解きました。「解いて、解いて、解きまくる!!」そうやって間違えた問題、自分の苦手分野を把握し、さらに「解いて、解いて、解きまくる!!」 もうここまで来たらこの反復練習しかありません。

挙げ句の果てにはタブレット端末でも問題が見られるようにデータ化して移動中や外出先でも「解いて、解いて、解きまくる!!」です。

試験当日

いよいよ本番です。ここからは今まで頑張った自分を信じるしかありません。実際出題された試験問題は、やはり「学科公式模擬問題」を利用した実践形式の学習だったため、同じような問題が沢山出てきました。もちろん新規出題項目もいくつか出題されています。その辺りは項目をJAGATのサイトで確認後、「DTPベーシックガイダンス」といったカリキュラムで学習するしかありません。私自身、この新規出題項目の学習が疎かになっていたのが反省点です。

まとめ

今回は「DTPエキスパート認証試験」の学科試験において私が実践した勉強方法をご紹介させて頂きました。勉強方法には人によって向き不向きがあるのも事実です。私は書きながら覚えていく方法がマッチしましたが、人によってはまず初めにご紹介した参考書をひたすら読む方が向いている方もいらっしゃるかと思います。

合格するという目的は同じです。そうやってトライ&エラーを繰り返し、まずは自分に合った勉強方法を見つけ出してひたすら取り組む事、そして何が何でも受かる!!というモチベーションを維持することが合格への近道だと思います。ちなみに第61期より学科試験がCBT方式に移行されます。これから先、試験を検討されている方は合格を目指して頑張って下さい。

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