印刷のもうひとつの主役!インキについて

印刷部
2021年11月15日

今まで、度々紙のお話をさせていただきました。印刷において紙は主役であるように思います。しかしながら紙はあくまで、「印刷される側」のものです。今回は「印刷する側」の主役、インキについて簡単にお話をさせていただこうと思います。

インキとは?

インキ(インク)の歴史

約5000年ほど前に現在の中国で固形の墨を水で磨りおろして黒色のインキを得たことが最も古い記録となっているようです。このためか、墨を英語ではChinese Inkと言うそうです。その後様々な文明から植物や木の実、鉱物などからインキを得ていたとされています。

インキの成分

印刷インキの成分は顔料とワニス(ビヒクル)という油脂類、天然樹脂、合成樹脂等を溶剤に溶かしたものに若干量の添加剤を加えて作られています。顔料の性質の違いからか、色によって柔らかさや粘度が異なるように感じます。つまりは色によって刷りやすさが異なります。

インキとインクの違い

特筆する違いはないようです。一般にですが、印刷業界ではインキと呼ばれることが多いです。ちなみに英語ではInk(インク)、オランダ語でInkt(インキ)と呼ばれています。また、粘度による区別をされることもあり、粘度が低く液状のものをインク、粘度が高いものをインキと呼んで区別していることもあるようです。

オフセット印刷におけるインキの特徴

 

4色印刷(カラー印刷)

印刷においてカラーを表現するためには一般的に4色印刷が用いられます。よく言われるCMYKと呼ばれるものです。青(Cyan)、赤(Magenta)、黄(Yellow)、黒(Key plate)から頭文字をとってそう呼ばれています。各色をアミ点で重ね合わせることで様々な色を表現できますが、色と色を重ね合わせるので、その仕組み上色の薄さ、明るさなどを表現するのが若干苦手であったりします。そのため4色+特色で印刷される場合もあります。ちなみに現在ではカラー印刷は3色~8色以上のものもあったりします。

単色印刷(特色印刷)

こちらはカラー印刷ではなく、伝票などに用いられる単色の印刷ですが、上記の4色印刷では表現できない色を印刷するために印刷の段階で色を重ね合わせるのではなく、インキとインキとを混ぜ合わせることで特定の色を作り印刷します。このため4色印刷よりも表現できる色域が広く、パッケージ印刷やイメージカラーなどの印刷に使われたりしています。最近ではカラー印刷の表現力も高くなり、特色印刷を用いなくても表現できるケースが増えてきているように感じます。

便利な添加剤

ドライヤー

印刷前から印刷直後のインキは乾いていません。UV印刷などでは別ですが、時間が経つことによってインキが乾き、印刷物としてキレイな仕上りになります。この乾くまでの時間を短縮してくれる添加剤がドライヤーです。裏写り引きずり等を軽減してくれます。

ホステノール

これはドライヤーと同じく、裏写りを防いでくれる添加剤なのですが、仕組みが違います。ドライヤーはインキの乾きを早くして膜を張らせることによって裏写りを防ぎますが、ホステノールはペースト状のパウダーのようなもので、インキの中にパウダー状の粒を作り、紙と紙の接地面積を減らすことで裏移りを防ぎます。

オロティックス

インキのコシを切る添加剤です。上記のインキの成分のところでお話したようにインキの色によって粘度が違うことがあります。例えばですが、インキの粘度が高く硬いインキでベタの多い印刷物を刷るのは難しいものです。インキが立ってしまい、きれいにベタが乗りません。そこでオロティックスを用いて柔らかくすることで、ベタをきれいに印刷することができます。

ワニス

これも上記のインキの成分のところでお話ししたワニスと同じものです。インキの中の樹脂の割合を多くするので、オロティックスとは逆にインクを硬くする効果があります。インキが柔らかすぎると版の画線部以外にもインキが乗ってしまい、紙に薄くインキの色が出てしまう、地汚れが発生することがありますが、インキを硬くすることでこれを軽減することが出来ます。

まとめ

印刷インキ、印刷用紙と比べてそれ自体は単体でイメージできる人はかなり限られていると思います。しかしながら印刷だけに留まらず、紙に何らかの情報を残す時、インキもしくはインクが無ければ始まりません。

また印刷インキは色によって、その原料によって、様々な種類と特性があります。

印刷は紙とインキが組み合わさって初めて印刷物となります。オシャレなカードや素敵な案内状などが届いた際はデザインだけでなく、その紙やインキにも思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

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