紙の分類とその特徴 ~ご存知ですか?「ティッシュペーパー」と「ちり紙」の違い~

印刷部
2020年11月15日

普段、私たちが何気なく利用している「紙」。ペーパーレス化が進み、紙の代替デバイスでもあるスマートフォンやタブレットが生活の一部になるまで浸透してきた今日でさえ、「紙」に触れない日はない、といっても過言ではないくらいに紙は私たちの生活と密接に結びついているように感じます。以前、この場で紙を取り上げたことがあるのですが、今回はもう少し踏み込んでまとめてみたいと思います。

紙について

紙は大きく分けて3つに分類することができます。

  • 洋紙
  • 板紙
  • 和紙

それぞれ大きな特徴があり、どれも欠かすことの出来ない紙でもあります。ティッシュペーパーから無形文化遺産まで、私たちの身の周りには様々な紙が存在しています。

紙の単位は「連」

印刷用紙の全紙1000枚をひとまとめにして「1連」と表します。そしてこの1連の重さで紙の厚みを表します。重いほど厚い紙ということになります。また「連」の語源は英語の「Ream」であるとされ、その意味も同じく「連」であるとされています。1連は「1R」と表記されることもあります。

厚さを表すのは「重さ」

上記のように厚みを表すために重さで表記するのが一般的です。しかしながら、全紙の大きさによって重さもまちまちですので連量表示は必ずその元となる原紙寸法を一緒に明示するという決まりがあります。例えば上質紙の場合、A判の35kg、菊判の38kg、B版の53kg、四六判の55kgは全て同じ厚みであり、そのためレッテルには重さだけでなく「A」や「4/6」などと原紙の寸法が表示されています。

「目」があります

用紙には繊維の流れている方向があり、これを「紙の目」や「流れ目」といいます。全紙に対して長辺の方向に流れている用紙を「縦目」、逆に短辺の方向に流れているものを「横目」といいます。特に製本工程では重要なファクターであり、印刷データを作成する段階から意識しておかないと仕上りが悪くなったり、最悪の場合は加工が出来ないなどの場合もあります。

 

洋紙

一般的に和紙に対して洋紙という言葉が使われますが、普段の生活では洋紙こそが「紙」として認識されているのではないでしょうか?西洋式の抄紙機で製造された紙の総称で、原料は木材チップや古紙などから取り出される繊維を加工した「パルプ」というものです。主に松などの針葉樹は繊維が長く丈夫なので包装紙や紙袋などの包装用紙に、ユーカリやアカシアなどの広葉樹は表面が滑らかになるので印刷用紙に向いているとされています。洋紙には以下のような種類があります。

新聞巻取紙

新聞紙に使われる紙です。高速での輪転印刷機に適するような強さとインクの受理性、高い吸水性を持っています。その名前のとおり出力前のレシートのように巻き取られたロール状のまま印刷機にかけられます。

包装用紙

ラップと呼ばれ、丈夫な紙です。マチ入りの薬袋や封筒に使われる紙でもあります。また、一般的な包装紙もこの中に含まれますが、紙袋や米や麦などの農作物を入れるための袋もここに分類されます。

衛生用紙

いわゆる生活必需品的なティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパーやペーパータオルなどがここに含まれます。古紙100%の商品も多くありますが、用途上、再生不可能な紙であることなどから近年では環境問題に様々な影響のある紙と報告されています。

雑種紙

建築や日用品(紙コップなど)や電気回路に使われる工業用のものや、以前は和紙で作られていた書道用半紙、障子紙などが近年では洋紙で作られ、ここに含まれるようになっています。

印刷・情報用紙

洋紙のなかでも6割がこの用途に使われています。主に一般の印刷で使われる紙はこれにあたります。弊社が扱う紙もほとんどがこのカテゴリーなので少し詳しく見ていきます。

印刷用紙

コーティングの有無によって大きく分けられます。コーティングされた紙ではコーティング材の量によってアート紙やコート紙などに分けられています。コーティングのないものではパルプの含有率で上級紙、中級紙、下級紙に分けられます。上級印刷紙では上質紙やケント紙などがその代表で、中級印刷紙は白色度が少し上級印刷紙より劣りますが、書籍や雑誌にも使われています。下級印刷紙は雑誌、主に漫画雑誌の本文などに使用されています。

情報用紙

情報を記録する為の紙、情報機器用の紙です。代表的なものにはノーカーボン複写用紙、感圧紙、感熱紙、コピー機用のPPC用紙などがあります。

 

板紙

洋紙と板紙の違いとして一般的に洋紙は薄くて柔らかいもので単層で抄かれているもの、対して板紙は硬くて重く、多層で抄かれているものを指します。また1連あたりの枚数も異なり、洋紙は1000枚で1連ですが、板紙は100枚で1連、表記では「1BR」(ボール連)と表します。

段ボール原紙

その名のとおり段ボールの元の紙です。段ボールの外装・内装用のライナー、段ボールの波型の紙の部分に使われる中しん原紙にわけられます。

雑板紙

建築用の防水原紙、石膏ボード原紙や、セロハンテープやガムテープのしんに使われる紙管原紙、その他、地券紙やワンプなどもここに含まれます。

紙器用板紙

弊社で扱う板紙のほとんどはここに分類されます。一般的には「箱」に使われる紙です。弊社では診察券やカード類などの多くは紙器用板紙を使用しています。中でも「白板紙」がその用途の多くを占め、大きく分類して「白ボール」と「マニラボール」に分けられます。

白ボール

表が白で裏面がねずみ色のボール紙です。表面にツヤのあるコートボールとツヤのないノーコートボールに分けられます。その用途の多くは紙箱やパッケージに使われます。

マニラボール

表裏両面とも白の高級な板紙です。食品の高級なパッケージ、出版物の表紙やカタログなどに使われています。弊社では診察券やカード類の多くがこの紙を用いて印刷しています。ツヤの有無、グレードによって細分化されています。

高級白板紙(高板)
    • 両面塗工、3層ともパルプを使用した板紙・・・両面コートアイボリー
    • 両面非塗工、3層ともパルプを使用した板紙・・両面ノーコートアイボリー
    • 両面塗工、中層に古紙を使用した板紙・・・・・両面コートカード
    • 両面非塗工、中層に古紙を使用した板紙・・・・両面ノーコートカード
特殊白板紙(特板)
    • 片面塗工、3層ともパルプを使用した板紙・・・片面コートアイボリー
    • 片面塗工、中層に古紙を使用した板紙・・・・・片面コートカード

特殊白板紙は高級白板紙の低グレード帯が新たなカテゴリーとして独立したものだと言われています。上層、中層、下層全てにパルプを使用した高級なものを「アイボリー」、中層に古紙を使用したものを「カード」といいます。

 

和紙

一般的な和紙の特徴としては、洋紙と比較して繊維の長さが長く、丈夫で長持ち。作成する方法は大陸から伝わったとされていますが、日本で独自の発展をとげ、現在のような高品質な紙になったとされています。独特の風合いを持つ物が多く、手抄き和紙と機械抄き和紙に分けられます。

和紙の原料

楮(こうぞ)

クワ科コウゾ属。和紙の主原料になる植物で、繊維がとても長く、絡み合う性質が強く、その紙は粘りが強く揉んでも破れにくい丈夫な紙になるそうです。

雁皮(がんぴ)

ジンチョウゲ科ガンピ属。繊維は楮の3分の1程度と短く、優美で光沢があり、平滑にして半透明で粘性があり緊縮した紙質となります。栽培が困難な植物とされています。

三椏(みつまた)

ジンチョウゲ科ミツマタ属。楮に次ぐ主要な原料となっています。繊維が短く印刷に適した和紙で、紙幣の原料にも使われています。比較的栽培が容易だとされています。

代表的な和紙と産地

日本三大和紙

      • 美濃紙(岐阜県)
      • 越前紙(福井県)
      • 土佐紙(高知県)

無形文化遺産

      • 石州半紙(せきしゅうばんし)(島根県浜田市)
      • 本美濃紙(ほんみのし)(岐阜県美濃市)
      • 細川紙(ほそかわし)(埼玉県小川町、東秩父村)

無形文化遺産へは2014年に登録され、上に挙げた3箇所ともに国産の楮のみを使用し、良質な水があり、伝統的な技術が代々受け継がれてきているということが共通しています。

和紙の用途

時代により様々ですが、古くは写経に使われたり、情報を残しておくもの、つまり現在の洋紙と同じ使われ方がされていました。その他にも丈夫な性質から、耐水性を持たせて和傘に使われたり、紙の服に使われたという記録もあります。また低級和紙はちり紙として生活に必要な衛生用紙としても使われていました。生産性、コスト面から徐々に洋紙にその役割が移り、和紙はより芸術や工芸にそのアイデンティティを見出されていくようになります。現在では人形などの工芸品はもちろん、光を柔らかくする照明機器のデフューザーとして使われたり、薄手の土佐紙などはその丈夫さと加工のしやすさから、世界中の絵画などの文化財の修復作業にも使用されています。

 

最後に

紙は惜しまれつつ、その役割は過渡期に入って・・・というわけではなく、紙の消費量減少は環境問題や温暖化対策の観点からむしろ歓迎されつつあるように感じてしまいます。実際、情報の記憶媒体としての紙はスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスにその地位を脅かされています。いずれは新聞なども無くなるといわれています。サブスクリプションのニュースサイトなどはまさにその代替メディアですね。しかしながら、和紙の経緯を見てみると紙はあながち淘汰され行くべき存在というわけではないように思います。和紙も洋紙と同じく最初は情報の記録媒体として使われていました。その役割を洋紙に取って代わられてからは芸術の分野にてその特性を活かしているように見受けられます。もちろん伝統的な産業という側面がクローズアップされてのことだと思いますが、和紙の持つ特性や特徴が十分に活かされている使い方だと思いました。和紙と同じように洋紙にも様々な種類と特徴があります。そう遠くない未来、デジタルデバイスによってその立場を追われた洋紙や板紙が意外な分野で活躍を続けているかもしれませんね。